Scene.13 心地よい風が吹いている。
高円寺文庫センター物語⑬
ラピュタ阿佐ヶ谷の、落成記念パーティーに招かれた。
高円寺じゃないのが残念だけど、阿佐ヶ谷の住宅地のなかに素晴らしい建物をつくったなっと感心するばかり!
文庫センターはアニメも強いから、雑誌『COMIC BOX』を出している出版社のふゅーじょんぷろだくととは親しくお付き合いをさせていただいていた。
受付を済ますと、社員の女の子から呼び止められた。
「社長が取り込んでおりますので、挨拶に参るまでご案内をさせていただきます。」
彼女について行った地下はコンクリートのアプローチで、入ると予想外の広々とした空間が広がるシアターになっていた!
音響効果を考えたか、ウッディなここは芝居もコンサートにも使えそうだった。
2階は映画館。キャパは50席もないかな、こんなミニシアターで佳作を堪能できるのは贅沢空間と思える。
そして、3・4階が吹き抜け空間のレストラン「山猫軒」。ここが、パーティー会場になっていた。
素敵な館内を案内されて満腹なうえに、パーティーにはいまを時めく名立たる漫画家さんが勢ぞろい! 満腹でも、これは別腹だな。
バイトくんの中では、さわっちょが憧れの鈴木翁二さんにまさかの出逢いで大変! またまた目の前でひとが固まっちまったのを見た。
それを察した林静一さんが、なんとも優しい。「ほら、サインを貰っておいで」って、さわっちょを励ましてくれているではないか!
思い出はスローモーションどころか、コマ送りだよ。とことこと、鈴木翁二さんの前に移動したさわっちょに「ビールを持って来てくれる?」
ボクらみんなで釘づけになっていたら、さわっちょのぷっくらホッペが動いて喋り出したじゃないか! ボクら耳がでっかくなっちまったぁ~!
「『ボタン』が、品切れになって残念です。良い本なのに、惜しいですね」
「あぁ、知っててくれた。嬉しいなぁ!
また、どこかから出したいとは思っているんだけどねぇ」
耳ダンボのボクら、みんな顔を見合わせたら瞳に星が輝いていた。
「店長、さわっちょ。また大人になったね」
「店長! 店長! 店長!」
「殿、りえさんが叫んでるわよ」
またまた、ニューバーグでのランチ中に呼ばれた。胃の消化活動にプラスかマイナスかぁ・・・・胃かんなぁ~。
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